HSPの人は一般的な人よりも繊細で優しくて素晴らしい特徴を持っています。しかし同時に、周囲から受ける刺激やストレスに対して敏感すぎて疲れやすくなったり、
- 自分や他人からミスや失敗を責められた時
- 自分ではなく他人が怒られているだけでも気分が落ち込む時
- 自己否定的な言葉や思考に支配されてしまう時
などに陥りやすくなったりします。
これらはすべて「自己肯定感」という心理的要素と関係しています。「自己肯定感」とは、自分自身を肯定的に評価し、尊重し、信頼する気持ちです。
この記事では、
- HSPの人が低い「自己肯定感」から抜け出す方法
- HSPの人が高めるべき「内発的動機付け」という心理的要素
- HSPの人が実践できる「ポジティブ心理学」から学ぶ具体的なテクニック
についてご紹介します。
HSPの人が低い「自己肯定感」から抜け出す方法
まず最初に、低い「自己肯定感」から抜け出す方法についてお伝えします。
低い「自己肯定感」は、自分の価値を外部の評価や条件に依存してしまうことが原因です。
例えば、
- 仕事ができる人だと思われたいから、ミスをしたら自分を責める
- 人から好かれたいから、自分の意見や感情を抑えて相手に合わせる
- 完璧な人でなければならないと思って、自分の欠点や弱点を認められない
などです。
これらはすべて「外発的動機付け」という心理的要素に基づいています。「外発的動機付け」とは、外部から与えられる報酬や罰、他者の期待や評価などによって行動することです。
HSPの人は、周囲の刺激や反応に敏感であるため、「外発的動機付け」に引き寄せられやすくなります。しかし、「外発的動機付け」は長期的に見ると不安や不満を増やし、「自己肯定感」を低下させます。
では、「低い『自己肯定感』」から抜け出す方法は何でしょうか？
答えは、「外発的動機付け」ではなく、「内発的動機付け」という心理的要素を高めることです。
HSPの人が高めるべき「内発的動機付け」という心理的要素
「内発的動機付け」とは、自分の興味や好奇心、価値観や目標などによって行動することです。
「内発的動機付け」が高い人は、
- 仕事が楽しいから、ミスをしたら学びのチャンスだと思う
- 人とコミュニケーションすることが好きだから、自分の意見や感情も伝える
- 完璧ではなくても良いから、自分の長所や強みも認める
などです。
これらはすべて「ポジティブ心理学」という学問分野で提唱されている「セルフ・デターミネーション理論（SDT）」に基づいています。「セルフ・デターミネーション理論（SDT）」とは、人間が幸福で充実した生活を送るために必要な3つの基本的欲求（自己決定性・有能性・関係性）を満たすことで、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が高まることです。
HSPの人は、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が高まることで、
- 自分の価値観や目標に沿って生きることができる
- 自分の能力や才能を活かして楽しく仕事ができる
- 自分の感情やニーズを大切にして、他人と良好な関係を築ける
- 自分の長所や強みを認めて、自信を持って生きられる
などのメリットがあります。
では、「内発的動機付け」を高めるにはどうすれば良いでしょうか？
答えは、「ポジティブ心理学」から学ぶ具体的なテクニックを実践することです。
HSPの人が実践できる「ポジティブ心理学」から学ぶ具体的なテクニック
「ポジティブ心理学」とは、人間の幸福や充実感、強みや美徳などに焦点を当てた心理学です。
「ポジティブ心理学」では、さまざまな研究や実験に基づいて、「内発的動機付け」と「自己肯定感」を高める方法が提案されています。以下では、HSPの人が日常生活で簡単に実践できる3つのテクニックをご紹介します。
「自己決定性」を高めるために、「オートノミー・サポート（自主性支援）」を受ける
「オートノミー・サポート（自主性支援）」とは、自分の選択や意思決定に対して尊重や理解、支持や協力などの態度を示すことです。
「オートノミー・サポート（自主性支援）」は、「自己決定性」という基本的欲求を満たすことで、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が高まります。逆に、「コントロール（支配）」という態度は、「自己決定性」という基本的欲求を阻害することで、「外発的動機付け」と「自己否定感」が高まります。
例えば、
- 「あなたは何がしたいんだ？」（コントロール）
- 「あなたは何がしたいんですか？」（オートノミー・サポート）
- 「あなたはこれしか選択肢がないよ！」（コントロール）
- 「あなたはこれらの選択肢から一つ選べますよ！」（オートノミー・サポート）
- 「あなたは私の言う通りにしなさい！」（コントロール）
- 「あなたは私の意見も参考にしてください！」（オートノミー・サポート）
このように、言葉遣いや口調だけでも大きく影響します。HSPの人は、周囲から受ける言葉や態度に敏感であるため、特に注意する必要があります。
そこで、「オートノミー・サポート（自主性支援）」を受けるためには、以下のようなことができます。
- 自分の選択や意思決定に対して自信を持つ
- 自分の選択や意思決定に対して理由や目的を明確にする
- 自分の選択や意思決定に対して周囲に説明や伝達する
- 自分の選択や意思決定に対して周囲からフィードバックや助言を求める
- 自分の選択や意思決定に対して周囲から尊重や理解、支持や協力を得る
また、周囲の人にも「オートノミー・サポート（自主性支援）」を与えることが大切です。それは、
- 周囲の人の選択や意思決定に対して尊重や理解、支持や協力を示す
- 周囲の人の選択や意思決定に対してフィードバックや助言を提供する
- 周囲の人の選択や意思決定に対して感謝や賞賛を表す
などです。
このように、「オートノミー・サポート（自主性支援）」は、相互的な関係で成り立つものです。HSPの人は、「オートノミー・サポート（自主性支援）」を受けるだけでなく、与えることも心がけましょう。
「有能性」を高めるために、「フロー体験（最高潮体験）」を増やす
「フロー体験（最高潮体験）」とは、自分が本来持っている能力以上のことができていると感じられる状態です。
「フロー体験（最高潮体験）」は、「有能性」という基本的欲求を満たすことで、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が高まります。逆に、「無能感」という状態は、「有能性」という基本的欲求を阻害することで、「外発的動機付け」と「自己否定感」が高まります。
例えば、
- 「仕事が難しすぎて手がつかない…」（無能感）
- 「仕事がちょうど良い難易度で挑戦的だ！」（フロー体験）
- 「趣味がつまらなくて時間の無駄だ…」（無能感）
- 「趣味が楽しくて時間があっという間だ！」（フロー体験）
- 「勉強が苦手で成績が上がらない…」（無能感）
- 「勉強が得意で成績が上昇中だ！」（フロー体験）
このように、行動する内容や目標設定、評価方法などによって大きく影響します。HSPの人は、自分への期待値
や周囲からのプレッシャーに敏感であるため、特に注意する必要があります。
そこで、「フロー体験（最高潮体験）」を増やすためには、以下のようなことができます。
- 自分の能力に合った難易度のタスクを選ぶ
- 自分の興味や関心に沿った内容のタスクを選ぶ
- 自分の目標や進捗に対して明確なフィードバックを得る
- 自分の集中力や気持ちに対して注意を向ける
- 自分の成果や努力に対して誇りや喜びを感じる
また、周囲の人にも「フロー体験（最高潮体験）」を促すことが大切です。それは、
- 周囲の人の能力に合った難易度のタスクを提供する
- 周囲の人の興味や関心に沿った内容のタスクを提供する
- 周囲の人の目標や進捗に対して明確なフィードバックを提供する
- 周囲の人の集中力や気持ちに対して配慮する
- 周囲の人の成果や努力に対して賞賛や感謝を表す
などです。
このように、「フロー体験（最高潮体験）」は、自己調整と他者支援で成り立つものです。HSPの人は、「フロー体験（最高潮体験）」を増やすだけでなく、促すことも心がけましょう。
3.3.「関係性」を高めるために、「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」を増やす
「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」とは、相手と共感したり、笑ったり、楽しんだりするようなコミュニケーショです。
「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」は、「関係性」という基本的欲求を満たすことで、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が高まります。逆に、「ネガティブ・インタラクション（否定的相互作用）」というコミュニケーションは、「関係性」という基本的欲求を阻害することで、「外発的動機付け」と「自己否定感」が高まります。
例えば、
- 「あなたはいつも私より優れていると思っているんだろう！」（ネガティブ・インタラクション）
- 「あなたは私から見ても素晴らしい才能があると思います！」（ポジティブ・インタラクション）
- 「あなたは私が言っていることがわかっていない！」（ネガティブ・インタラクション）
- 「あなたは私が言っていることがわかってくれていますか？」（ポジティブ・インタラクション）
- 「あなたは私に興味がないんだね…」（ネガティブ・インタラクション）
- 「あなたは私にとって大切な人です！」（ポジティブ・インタラクション）
このように、コミュニケーションの方法や態度、言葉遣いなどによって大きく影響します。HSPの人は、自分の感情や感受性に敏感であるため、特に注意する必要があります。
そこで、「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」を増やすためには、以下のようなことができます。
- 相手の気持ちや考えを聞く
- 相手の気持ちや考えを理解しようとする
- 相手の気持ちや考えを尊重する
- 相手の気持ちや考えを共有する
- 相手の気持ちや考えを応援する
また、周囲の人からも「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」を求めることが大切です。それは、
- 自分の気持ちや考えを話す
- 自分の気持ちや考えを理解してほしいと伝える
- 自分の気持ちや考えを尊重してほしいと伝える
- 自分の気持ちや考えを共有してほしいと伝える
- 自分の気持ちや考えを応援してほしいと伝える
などです。
このように、「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」は、受動的ではなく能動的に行うものです。HSPの人は、「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」を増やすだけでなく、求めることも心がけましょう。
4まとめ
HSPの人は、「内発的動機付け」と「自己肯定感」が低下しやすい傾向があります。しかし、「オートノミー・サポート（自主性支援）」「フロー体験（最高潮体験）」「ポジティブ・インタラクション（肯定的相互作用）」という3つの要素を意識して行動することで、「内発的動機付け」と「自己肯定感」を高めることができます。これらは、「自己決定理論」という心理学理論に基づいています。この理論では、「自主性」「有能性」「関係性」という3つの基本的欲求が満たされることで、人間は幸せに生きられるとされています。
また、HSPの人が敏感さゆえに多くの困難に直面するかもしれない一方で、敏感さゆえに多くの可能性も秘めています。その可能性は、芸術や創造性、気づきや洞察力、共感や思いやりなどです。HSPの人は、自分の敏感さを誇りに思い、自分の幸せを追求することができます。